本当のコーチングとは
4年前、当時高校3年生だった高校生のお母さんから
「息子が進路とかどうでもいいと言って勉強もしないで、楽できる仕事を探すと言って聞かないんです…」
という相談を受けた。
野球が好きとのことで
「とりあえず無理矢理でもいいからグローブ持たせて会社に連れて来てください」
と伝えて来てもらった。
そこから毎週土曜日は彼とキャッチボールする約束をして、毎週キャッチボールをした。
たまにうちの社員や仕事仲間も入れて、とにかく彼に居場所を作ってあげようと。
ある日、彼がモジモジしながら「平松さん、そろそろ進路とか考えんとヤバいかなあ?」と。
その日はキャッチボールはやめて、子供の頃の夢をたくさん聞いた。
小さい頃、恐竜が好きだったこと。
お父さんと博物館に行ったことがきっかけで、化石を発掘したいと夢見ていたこと。
でも、勉強で挫折をして諦めていたこと。
そして、なれるものなら「学芸員になりたい」こと。
2人で今からでもチャレンジできそうな大学を調べた。
推薦なら入れそうな大学を見つけ、「キャッチボールの土曜日」は「試験対策の土曜日」になった。
結果、彼は考古学・文化財学科のある大学に合格した
そこから4年…
久しぶりにLINEが来た。
学芸員ではないけど、彼の中で色々な経験や変化があって就職先を決めたと思う。
当時、僕は彼と対等でいようと思った。
お父さんお母さんに「本当に息子は大丈夫ですか?」と聞かれても、「大丈夫です」と伝えた。
本音を話してくれるまで待った。
相談してくれた時は真剣に話を聞いた。
アドバイスする時は真実を伝えた。
「無理だ」という彼に、「無理じゃない」と言った。
方法は一つじゃないと模索した。
彼をコントロールしようとしなかった。
諦めずに一緒に考えた。
彼の中にある可能性を信じた。
僕がやるコーチングは、こういうことだ。
最近では、教育や育成にコーチングが有効だとよく言われるようになった。
でも、世の中には
「管理しようとする」
「コントロールしようとする」
「言うことを聞かせようとする」
そんなリーダーや指導者ばかりだ。
いくら勉強してスキルを身に付けても、そんなことで人は動かない。
相手の立場や地位は関係ない。
それぞれが自分の人生を生きる主人公なのだから、尊敬し尊重して信じる。
人間関係はそこからスタートするのだ。